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マスクをかける女性

タミフルの開発は1983年にさかのぼりますが、従来の薬とは異なりタミフルはインフルエンザウイルスのみに作用するという特色があり、人の組織や細胞に影響を与えることが少なく安全性かつ効果が非常に高い薬です。
また香辛料の一種である八角から成分が採取されたことも話題となりました。

それまでインフルエンザに特化した治療というものがなかった中、その後の治療が飛躍的に進化したインフルエンザ治療薬の先駆けといって過言ではないでしょう。
ただその効果については注意点もあり少々誤解されているところもあります。

タミフルの副作用

それまでインフルエンザの治療薬にはこれといって特別な有効性があるものがなかった中、タミフルの登場は世界的にも画期的で小さな子供から高齢者まで幅広く使用されることとなりました。
そんな中、当時14歳の少年がタミフルを服用した後に9階の自宅から転落死するという事象が起こり、世間は大きなショックを受けました。

その後も急に家を飛び出してトラックに飛び込んで事故死したりマンションから転落して骨折したり、大声を出して暴れるといったような症例が見られたのです。
すべてがタミフル服用後だったことから、因果関係は不明でしたが緊急措置として10歳以上の小児にはタミフルの使用を差し控えることという情報を出すこととなったのです。

一般的にあげられているタミフルの副作用とは、嘔吐・下痢・腹痛といったものがあります。
特に多いのは嘔吐や下痢で2割を超える患者がこの症状を示すとも言われています。
ただしこれらの副作用はそれほど深刻な症状が出るわけではなく、逆に他の医薬品と比較しても副作用は出にくい部類に入り安全性は高いのです。

しかし薬というのは人によって副作用の出方も異なります。
割合は低いものの重い副作用が出ることもあります。
タミフルは安全性が高いと言われているから大丈夫と過信せずに、症状によってはすぐに医師に相談することが大切なのです。

例えばじんましんですが、これは薬が合わないなどのアレルギー症状の可能性があります。
そのまま服用を続けることで鼻やのどといった粘膜全体に水泡が出来、時として呼吸困難に陥ることもあります。
目の粘膜に水泡が出来た場合、最悪の場合失明する恐れもあるのです。

他にも白血球が減少して出血しやすいといった症状が起こる人もいます。
鼻血や血尿・血便には注意が必要です。
こういった症状に気づいたらすぐに医療機関を受診してください。

また下痢や吐き気・腹痛などが続く、唇が腫れる・強い眠気や逆に不眠・視野がぼやける・胸がドキドキするといった症状が出た場合も早めに医師に相談したほうがいいでしょう。
タミフルの重篤な副作用は服用後2日以内に起きることが多いと言われています。
そのため服用後2日間はなるべく家族などが一緒に過ごし、部屋で一人にならないよう気を付けることが求められます。

オセルタミビルがインフルエンザに効く仕組み

インフルエンザは高熱が特徴の感染症ですが、この症状はインフルエンザウイルスによって引き起こされます。
つまりこのウイルスの働きを抑制することが出来れば治療に効果があるということです。
インフルエンザウイルスはRNAという膜で覆われています。
人の細胞に取り込まれた時はこの膜で覆われているためにまだ増殖する力はありません。
膜を破ってなかの遺伝子情報を放出するにはノイラミニダーゼという酵素がカギとなります。

酵素の力を借りてウイルスを拡散していくため、この酵素を阻害すればウイルスは細胞内に閉じ込められたままとなります。
オセルタミビルはノイラミニダーゼ阻害薬と呼ばれるインフルエンザ治療薬なのです。

タミフルは発症後48時間以内に投与することで効果を発揮すると言われています。
それはこの薬がウイルスの増殖を防ぐという目的で作られているからです。
発症後48時間を経過してしまった体内では、すでに爆発的にウイルスが増殖していることが考えられます。
そのためにいくらタミフルを投与してもその効果を実感することはできないでしょう。

気道内に侵入したインフルエンザウイルスは、8時間後には数千倍にまで増えるとされています。
24時間後には数百万倍といった数に増え、その増殖スピードはかなりの速度です。
タミフルはウイルスを直接殺す作用はないため、爆発的に増えてしまった後の投与では意味がないのです。

また治療薬を投与すればすぐに熱が下がると考える人もいますがそうではありません。
ノイラミニダーゼ阻害薬というのはウイルスの増殖を防ぐだけであり、侵入しているウイルスを退治するには自らが持っている免疫細胞と戦う以外方法がないのです。
治療薬で細胞内に閉じ込められたウイルスは、免疫細胞と戦うこととなります。
ウイルスの多くは熱に弱いという特性があり、戦うために体温が上昇するのです。

さらに白血球といった免疫細胞が戦うためには体温が上昇している方が活発になりやすいといったこともあり、発熱といった症状がでることとなります。
つまりオセルタミビルには熱を下げる効果はなく、インフルエンザ治療薬を服用したからといってすぐに熱が下がるわけではないのです。
平均3日ほどで熱は下がると言われますが、個人差はありますのでまずは体を休めることが重要です。

異常行動の真相とは?

ではあれほど世間を騒がせたタミフルの異常行動ですが、なぜ起こったのでしょうか。
未だにタミフルと転落死や事故死といった異常行動の因果関係は明らかにされてはいません。
しかし他の抗インフルエンザ治療薬の使用においても異常行動は報告されており、タミフルといった薬だけが原因で異常行動を起こすのではないということがわかってきたのです。
異常行動については現在に至るまで様々なデータから研究がなされていますが、今現在言えることはインフルエンザに罹った場合は薬の服用に関わらず異常行動を起こす可能性があるということです。

インフルエンザと異常行動の因果関係も未だはっきりとはわかっていません。
脳症にかかった場合に異常行動を起こす子もいましたが、脳症でない場合にも起こっています。
インフルエンザ症状の一つに熱せん妄というものがあります。
乳幼児等が熱を出した場合、何かにおびえたりうわごとを言ったりという症状が起きたという経験をした人はいないでしょうか。
インフルエンザの発熱において熱せん妄を引き起こした可能性はあるでしょう。

異常行動は10歳前後の男子によく見られるといった傾向があるようですが、10代20代といった幅広い年齢層でも報告があります。
また眠りから覚めた時に起きやすいとも言われています。
睡眠中は血圧低下といった状態になり副交感神経が優位になりやすいです。
しかし発熱などが原因で血圧低下なのに交感神経が活発になり、起き抜けに無意識に興奮状態となり異常行動へつながる可能性もあります。

こういった異常行動は予測が難しいために家族などの周りが注意することが必要です。
注意点としては飛び降りたりしにくい部屋で寝かせるということです。
出来れば1階の部屋、マンションなどではベランダに面していない部屋がいいでしょう。
家族がいる部屋で寝かせることが一番いいのですが、10代といった体格がしっかりした子供の異常行動を抑えるのは大人でも難しいものです。
万が一のために対策はとっておいた方がいいのです。

ただ異常行動の予防にもっとも効果的なのはインフルエンザにかからないことです。
家族がインフルエンザに罹った場合、予防としてタミフルの服用が認められています。
特に持病を持っている家族がいる場合は予防対策のタミフル服用が効果的とも言われているので一度相談してみるといいでしょう。